秋空の下の点P

2023年10月6日

金曜日。
一週間の仕事を終えて、走りに出た。

今週は疲れたな。
それでも走る。
走って体力は消費されるが、走ることで得られる精神面での栄養がある。

30km走。見知った道の航海だ。
自らを点Pに見立てて走っていく。
一定のリズムで、かつ有機的に、人間としての走り。

季節が夏から秋へと変わりゆくこの2023年10月上旬。
秋の訪れを待ちくたびれてきっていたが、それでも私の心は躍った。


ゆかりのない小学校に植えられた銀杏の木。

時期尚早に潰された銀杏から香るにおい。

やきとん屋から香る炭火の匂い。

塾帰りの小学生が漕ぐ立派な自転車の走行音。

少し寒そうにしているガールズバーのキャッチ。

高架下で不味そうに煙草を喫む男。

暗がりにしゃがみ込む男。

親しげに男を小突く女。

二人だけのバス停で抱擁を交わす高校生。


30kmも走れば、様々な景色が目に飛び込んでくる。

贅沢な時間、贅沢な体験だ。

この日はみんな秋の顔をしていた。
あの夏はもう、振り返られるものになった。

幸せな秋を実らせよう。

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