
2020年8月5日〜
午前中からお昼過ぎまで仕事をして、病院へ荷物を届けて妻と面会し、ご飯を食べて残りの仕事を片付け、友達や家族と電話する。
ここからの日々はただひたすらそれを繰り返した。
闘病する妻を支える生活でのルーティン構築が早々に出来たことは、とても大きなことだった。
友達との会話のはじまりはいつも「こんばんは。おつかれ。もう一日経ったか。」だった。
この電話で一日のゴールテープを切り、また翌日分を張るようなイメージだった。
噛み締めるように食い縛るように、異常な状況下に適応しようと必死だった。
そのために彼は8月中は毎日1~2時間の電話に付き合ってくれた。
その愛と根性に感服する。今もこれからも。
電話の内容はだいたい決まっていた。
まずはアイスブレイク的に5分ほど会話してから今日の出来事を共有する。
そのあとはプロ野球の試合結果について議論。
それからこの時期に友達から薦められてはじめたグリーンスムージーに入れる具材について話した。

結果的に長続きしているので気に入ったデザインのものを買って良かった。
小松菜キウイバナナを主軸とし、水or牛乳or豆乳と氷。
そこにパイナップルやアップルマンゴーなんかを微調整して足していく。
徐々に自分好みの配合に近づいていく喜び。
成功と失敗を短いスパンで繰り返す刺激性。
他人から見たらどうということのないものだが、グリーンスムージーの実験的な要素はこの生活の中で一際光を放ってくれていた。
今でもグリーンスムージー生活は続けられている。美味しいから。
やるべきこと
妻が闘病する。
闘病する妻を私が支える。
闘病する妻を支える私を近しい人が支えてくれる。
人の愛で成り立つこのピラミッドの2段目に位置する私が潰れるわけにはいかなかった。
妻のためにやるべきこと、自分のためにやるべきこと。
いずれも明確だったのでブレることはなかった。
妻のためにやるべきこと
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不安な気持ちを少しでも取り除く
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辛い時に寄り添う
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やりたいことを少しでも叶える
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いつでも帰って来られるように家をきれいに保つ
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入院生活に不自由しないように荷物を持っていく
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好きだという想いを言動で100%伝えきる
自分のためにやるべきこと
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目の前の現実を受け止められる分だけ受け止めていく
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辛い時は身近な人にちゃんと頼る
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仕事を続けて社会との接点を保つ
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無理せず無理する
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後悔しない行動を心掛ける
割とシンプルだった。
これらの指針は毎日の友達との電話の中で少しずつ修正しながら自分の言葉で固めていくことができた。
当時から時間は経ってしまっているが、しっかり思い出せるくらいには今でも根付いている。