制限下でのコミュニケーション

2021年2月中旬

大手術が終わっても、闘病の日々は続く。
大手術を乗り越えたからこそ、闘病の日々は続けられたとも言える。

今までとは異なる原因で入院と退院を繰り返した。

次に妻を襲ったのは排尿時の激痛だった。
子宮摘出手術の際に、がんが転移していた膀胱の一部を摘出したことで痛みが出てしまっているということだった。

しくしくとした痛みが続き、寝られない夜も少なくなかった。
排尿の頻度も多く、約束された激痛を分かった上でトイレに向かう姿はいたたまれなかった。

医師に相談した結果、術後の経過を注視するために入院することが決まった。
家では投与できない痛み止めを使えたり、常にナースコールが出来る環境が今は必要だった。

入院とは別件で、会社の健康保険組合が変わったため限度額適用認定証の発行や保険証の切替に抜かりがないよう気をつけた。
適用に漏れがあるとあとが面倒なので、窓口の方に再三確認を入れつつ無事切替を行えた。
公的手続きは何かと面倒なので、先回りの重要さをここで再度実感した。
妻の闘病に対峙するためには、他の不安要素はゼロに近づける必要がある。

安心させてあげること。
余計な不安を与えないこと。

妻は心配性なのでなるべく不安要素を排除できるよう立ち回った。
とはいえ私は基本的に詰めが甘いので、完璧に立ち回れたかというとそうではない。
少しは頼りになったかな。

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入院中にひとつの小包が届いた。
病床からバレンタインデーのチョコを手配してくれたようだ。

ピエール・マルコリーニの可憐なチョコを、大事に食べた。

退院まで待って食べようと思っていたが、妻に急かされ届いた日に食べた。味わって食べた。
退院後に撮った写真。ありがとう。

2021年2月下旬

ナポリタンが食べたいというので、妻の入院中にこそこそと何度か練習していた。
退院後、比較的体調の良い日にそれを作って食べた。
このレシピで食べたい!という指定をもらっていたので、その通りに作った。

リュウジのバズレシピの至高のナポリタン。
自分で作っても至高だった。

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ナポリタン。また作ろうかな。

美味しいと食べる妻を見て、神々しさすら感じていた。

頼りにしていることをその通りに伝えることは意外と難しいが、妻はこういった点に長けていた。

無理のない範囲でやってほしいことを私に渡してくれていて、無理のない範囲で私がそれ実行して心から喜ぶという、ある程度約束された喜びを感じられるコミュニケーションを交わしあった。
様々な制限がある中で行なってくれていたこういった数々の気配りは、私の精神面に大きく寄与していたのだろうと今感じている。

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